マンガ大賞は「2位以下」も面白い
大賞を逃した傑作6選
なぜ「2位以下」に注目するのか
マンガ大賞は毎年3月に大賞1作が発表され、ニュースになるのはいつも「大賞」だけ。 でも本当に面白いのは、公表される最終結果の順位表を下まで眺めることです。 なぜなら2位以下には、のちの大ヒット作や「翌年の大賞」が普通に転がっているから。
実際、当サイトで紹介しているSPY×FAMILYはマンガ大賞2020の2位、 ブルーピリオドは2019年の3位を経て翌年に大賞を受賞しています。 「たまたまその年に強すぎる相手がいた」だけの傑作が、2位以下にはたくさん眠っているのです。 今回はその中から、編集部が自信を持っておすすめできる6作品を選びました。
編集部が推す「大賞を逃した」傑作6選
チ。―地球の運動について―
15世紀のヨーロッパを思わせる世界で、異端とされた「地動説」を研究する者たちを描く歴史フィクション。 命を懸けて真理を追う人々の間で信念のバトンが受け継がれていく構成が圧巻で、 「知りたい」という欲求がこれほど熱く描かれた漫画は他にありません。 全8集で完結済み、アニメ化もされました。この年の大賞が『葬送のフリーレン』だったのは、 相手が悪かったとしか言いようがありません。
ルックバック
『チェンソーマン』の藤本タツキが描いた、1冊で完結する読切作品。 学年新聞に4コマを描く小学生・藤野と、不登校の天才・京本。 「描くこと」でつながった二人の歳月を140ページあまりに凝縮した本作は、 創作に携わるすべての人の胸を貫きます。2024年には劇場アニメ化され大きな話題に。 1冊で読み切れるので、この特集から最初に手に取る1作としてもおすすめです。
ミステリと言う勿れ
天然パーマの大学生・久能整(くのう・ととのう)が、持ち前の観察眼と 「僕は常々思うんですが」から始まる長台詞だけで、事件の見え方をがらりと変えていく異色ミステリー。 謎解きと同時に、登場人物の抱える偏見や思い込みまでほどいていくのが本作の真骨頂で、 読むたびに視野を広げてもらえます。ドラマ化・映画化もされた国民的作品になりました。
カラオケ行こ!
合唱部部長の中学生・岡聡実は、ヤクザの成田狂児から「歌がうまくなりたい」と カラオケに誘われてしまう──設定を聞いただけで面白い、和山やまの真骨頂。 とぼけた会話の応酬で笑わせながら、変声期という「終わり」に直面する少年の切なさを さらりと差し込んでくる緩急が絶品です。単巻完結で実写映画化もされました。
黄泉のツガイ
『鋼の錬金術師』の荒川弘による伝奇アクション。山奥の村で暮らす少年ユルは、 「ツガイ」と呼ばれる異形を使役する者たちの争いに巻き込まれ、 生き別れの双子の妹アサと再会します。謎が謎を呼ぶ先の読めない展開、 キレのある戦闘、そしてどこか憎めないキャラクターたち。 少年漫画の面白さを知り尽くした作者の手腕を存分に味わえる一作です。
路傍のフジイ
職場で「冴えない人」と思われている独身会社員・フジイ。しかし彼は他人と自分を比べず、 自分の「好き」を静かに大切にして生きています。そんなフジイの生き方に触れた 周囲の人々が、少しずつ変わっていく連作形式の物語。 「幸せとは何か」という大きな問いを、説教くささゼロで届けてくれる現代の寓話です。 SNS疲れした心にいちばん効く漫画かもしれません。
ほかにも: 歴代の上位に入った注目作
紙幅の都合で詳しく紹介できなかった作品も、どれも粒ぞろいです。
- スキップとローファー(高松美咲) ─ 2020年3位。上京した高校生・みつみの、まぶしくて優しい学園もの。アニメ化。
- ひらやすみ(真造圭伍) ─ 2022年3位。平屋を譲り受けたフリーターのヒロトと、いとこの美大生の日常。
- あかね噺(末永裕樹・馬上鷹将) ─ 2023年2位。落語家を目指す高校生あかねの成長を描く王道もの。
- 女の園の星(和山やま) ─ 2023年3位。女子校教師の日常を描く脱力コメディ。声を出して笑えます。
- 神田ごくら町職人ばなし(坂上暁仁) ─ 2024年3位。江戸の職人たちの手仕事を圧巻の画力で描く。
- ふつうの軽音部(クワハリ・出内テツオ) ─ 2025年3位。高校の軽音部の等身大すぎる青春。
- 「壇蜜」(清野とおる)・邪神の弁当屋さん(イシコ) ─ 2026年の2位・3位。最新回の上位作として要チェック。