25時のバカンス 市川春子作品集II
静謐で幻想的な世界を描く短編集
『25時のバカンス』は、『宝石の国』の市川春子による短編集の第2弾です。 静けさと幻想が同居する独特の世界観はこの1冊にすでに完成されており、 マンガ大賞2012で第5位に選ばれました。短編集なので1冊で完結し、 市川春子の入門としても、『宝石の国』読了後の1冊としても最適です。
作品情報
| 作者 | 市川春子 |
|---|---|
| 出版社 | 講談社 |
| 巻数 | 全1巻(短編集・作品集第2弾) |
| 受賞 | マンガ大賞2012 第5位 |
あらすじ
表題作「25時のバカンス」は、海辺の研究所に勤める姉のもとを、 しばらく会っていなかった弟が訪ねてくるところから始まる物語。 再会した姉弟の穏やかな時間の裏で、姉の身体にはある「変化」が静かに進行しています。 人と人ならざるものの境界を見つめる、美しくも不穏な中編です。
ほかにも、日常の中にふと現れる不思議な存在や、静謐な喪失と再生の物語が、 繊細な線描とともに収められています。どの短編も説明を最小限に抑えた語り口で、 読み手の想像力に委ねる余白がたっぷり残されているのが特徴です。
見どころ
後の代表作『宝石の国』に通じる、生と死、存在の儚さを見つめる独特の詩情が、 既にこの作品集で確立されている点が最大の見どころです。 身体の欠損や変容といったモチーフ、鉱物や貝のような無機物と生命の混ざり合いなど、 市川作品を象徴するイメージの原型がそこかしこに見つかります。
白場を大胆に使ったコマ運びと、消え入りそうに繊細な線。 派手さはなくとも、一度読むと忘れられない静かな余韻を残す作品ばかりです。
こんな人におすすめ
- 『宝石の国』などの市川春子作品のファン
- 静謐で詩的な短編漫画が好きな人
- 幻想文学的な世界観が好きな人
- 1冊で完結する質の高い短編集を探している人
よくある質問
- 『虫と歌』とどちらから読むべきですか?
- 刊行順ならデビュー作品集『虫と歌』が先ですが、独立した短編集なのでどちらから読んでも問題ありません。
- 『宝石の国』を読んでいなくても楽しめますか?
- 楽しめます。物語のつながりはないので予備知識は不要です。むしろ本作で作風が気に入ったら『宝石の国』へ進むのがおすすめです。