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『封神演義』書影

封神演義

仙人と仙術が乱れ飛ぶ、殷周革命の三国志的大河バトル

バトル中国古典アニメ化

『封神演義』は、『週刊少年ジャンプ』で1996年から2000年まで連載された、藤崎竜による中国神話バトル漫画です。 古代中国・殷周革命を題材にした伝奇小説「封神演義」を大胆にアレンジし、 仙人・仙術・妲己をはじめとする妖怪変化が入り乱れる群像劇として再構築。 独特のスタイリッシュな作画と乾いたユーモアで、90年代ジャンプの異色作として愛されています。 全23巻で完結し、TVアニメは1999年と2018年の2度制作されました。

作品情報

作者藤崎竜
出版社集英社
掲載誌週刊少年ジャンプ(1996年28号〜2000年47号)
巻数全23巻(完結) ※完全版全18巻・文庫版全12巻もあり
原作安能務訳『封神演義』(講談社文庫)を底本に大胆にアレンジ
メディア化TVアニメ『仙界伝 封神演義』(1999年・全26話)、『覇穹 封神演義』(2018年・全23話)

あらすじ

暴虐の限りを尽くす殷の紂王と、彼に取り憑いた妖狐・妲己。 崑崙山の仙人・元始天尊は、人間界に降りて世を乱す仙道たちを神界に封じ、 殷を倒して新王朝「周」を打ち立てるべく、弟子の太公望を地上に遣わします。 「封神計画」と呼ばれるこの企みは、人と仙人と妖怪を巻き込む 大規模な代理戦争へと発展。太公望は仲間の仙人たちとともに、 紂王配下の仙人・道士たちと知略と仙術を駆使した戦いを繰り広げます。

主な登場人物

太公望(たいこうぼう)主人公。崑崙山の道士で、「封神計画」の実行者。戦わずに勝つことを好む策略家で、昼寝と桃が好きな飄々とした人物。
妲己(だっき)殷の紂王に取り憑いた妖狐の仙女。妖艶な美貌と残忍さで王朝を内側から腐らせていく、物語前半の最大の敵。
楊ゼン(ようぜん)崑崙山の若き天才道士。変化の術を得意とし、太公望の相棒として戦う。
哪吒(ナタク)宝貝(パオペエ)人間として生まれた戦闘の天才。無口で戦うことにしか興味がない、太公望一行の最強戦力。
聞仲(ぶんちゅう)殷の太師。殷という国に忠義を尽くす最強の道士で、太公望にとって最大の壁の一つ。
申公豹(しんこうひょう)妲己や聞仲をも超える最強の道士と噂されながら、物語の大半を観察者として振る舞う謎の人物。
武王(ぶおう)周の王。太公望に導かれ、殷を倒して新王朝を打ち立てる人間側の主役。

見どころ

本作最大の魅力は、太公望というトリックスター的主人公の造形です。 戦わずに勝つことを美徳とし、卑怯な策も平然と使う食えない策略家でありながら、 仲間の死には本気で涙する。王道の熱血漢とは真逆のヒーロー像は、 90年代ジャンプの中でも際立つ個性でした。

原典の中国神話・神仙思想を大胆に脱構築した設定センスも見どころです。 道具「宝貝(パオペエ)」のガジェット的な魅力、仙人たちの人間くさい人間模様、 そして「封神計画」の真の目的が明かされる終盤の転回。 乾いたギャグと重厚なテーマが同居する、唯一無二のバランス感覚の作品です。

終盤で物語は、古代超文明や「歴史の裏で行われてきた神々の戦い」という SF的なスケールへ一気に広がります。殷周革命という歴史上の出来事が、 実はもっと大きな計画の一部だったと分かる構成は、伏線回収の快感も含めて 本作が今も語り継がれる理由です。

ここが推せる 王道を裏切り続ける太公望というキャラクターの発明。中国神話という題材を、少年漫画のバトルとして完全に再解釈した藤崎竜のセンスが光る全23巻です。

結末・ラストはどうなる?

殷が滅び、武王が周を建国したところで物語は終わりません。 最終巻の第23巻で、それこそが「封神計画」の本当の始まりだったことが明かされ、 太公望はこれまでで最強の敵と向き合うことになります。

結末のネタバレを表示する

終盤、太公望と、物語を通じて暗躍してきた王天君が本来は一人の存在「伏羲」であったことが明かされます。 歴史の裏で王朝を興し、衰退させることを繰り返してきた真の黒幕・女媧との最終決戦に、 二人は一つに戻ることで臨みます。決戦の末、女媧は倒され、 最終話では死んだと思われていた太公望が生きていて、人間界に戻ってきていたことが分かります。 仙人たちが去り、人間の歴史が人間の手に返されるところで物語は幕を閉じます。

アニメ版について

TVアニメは2作あります。1作目『仙界伝 封神演義』は1999年7月3日から12月25日までテレビ東京系で放送された全26話。 制作はスタジオディーン、監督は西村純二です。原作連載中の制作だったため、途中からオリジナル展開となりました。

2作目『覇穹 封神演義』は2018年1月から6月にかけて放送された全23話で、制作はC-Station、監督は相澤伽月。 原作完結後の再アニメ化で、全23巻の物語を1クール強に圧縮した構成のため、原作の細かなエピソードは大きく省略されています。 2018年には藤崎竜による18年ぶりの新作「封神演義 外伝」も短期集中連載されました。 アニメから入った人は、原作を読むと省かれたエピソードの多さに驚くはずです。

こんな人におすすめ

  • 中国神話・封神演義をベースにした作品に興味がある人
  • 策略家タイプの主人公が好きな人
  • 90年代ジャンプの異色作を掘りたい人
  • 伏線が最後に一気に回収される長編を読みたい人

よくある質問

原典の小説を知らなくても読める?
問題ありません。本作は原典の設定を大胆にアレンジしたオリジナル色の強い作品で、予備知識なしで楽しめます。
どの版で読むのがいい?
通常版全23巻のほか、加筆修正された完全版(全18巻)や文庫版(全12巻)があります。Kindleではいずれも配信されています。
アニメはどこまで描かれている?
1999年版は途中からオリジナル展開、2018年版は結末まで描いていますが大幅に圧縮されています。物語をきちんと追うなら原作全23巻がいちばん確実です。
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