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『うずまき』書影

うずまき

町全体を侵蝕する「渦」、伊藤潤二が描く形而上ホラーの金字塔

ホラー怪奇実写映画化

『うずまき』は、伊藤潤二が1998年から1999年にかけて『週刊ビッグコミックスピリッツ』で不定期連載したホラー漫画です。 「渦巻き」という単純な図形そのものに呪われた町を描き、 身体・建築・自然現象すべてが渦に侵蝕されていく特異な世界観で、 海外でも高く評価される伊藤潤二の代表作の一つ。 2000年に実写映画化、2024年にはTVアニメ(全4話)が海外のAdult Swimで放送され、Netflixでも配信されました。

作品情報

作者伊藤潤二
出版社小学館
巻数全3巻(完結) ※1冊にまとめたビッグコミックススペシャル版(2010年)もあり
掲載誌週刊ビッグコミックスピリッツ(1998年7号〜1999年39号・不定期連載)
メディア化実写映画(2000年・Higuchinsky監督)/ TVアニメ(2024年・全4話)

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あらすじ

平凡な地方都市・黒渦町(くろうずちょう)で、 女子高生・五島桐絵は、恋人・斎藤秀一の父親が渦巻き模様に異常な執着を見せ始めたことに気づきます。 やがて町中の人々が渦への奇妙な執着に取り憑かれ、 身体が渦状に変形する者、渦に吸い込まれるように行動する者が続出。 町そのものが「渦」という単純な図形に支配されていく様を、 桐絵と秀一は絶望的な状況の中で見届けることになります。

物語の前半は、毎回異なる形で「渦」の怪異が起きる連作短編のような構成です。 しかし後半に入ると、それらの異変は一つにつながり、 黒渦町という町全体が崩壊へと向かっていきます。

主な登場人物

五島桐絵(ごしま きりえ)主人公の女子高生。「渦」に侵蝕されていく黒渦町の異変を見つめ続ける語り手。
斎藤秀一(さいとう しゅういち)桐絵の恋人で、隣町の高校に通う。いち早く町の異常に気づき「この町から出よう」と訴え続ける。

見どころ

本作の恐怖は、「渦巻き」という誰もが日常で目にする無害な図形が、 脈絡なく破滅の象徴になっていく不条理さにあります。 理由や動機を説明しない恐怖こそが伊藤潤二ホラーの真骨頂で、 本作はその極致として「形そのものが呪い」という前代未聞の恐怖を成立させました。

そして町全体、コミュニティそのものが少しずつ壊れていく 「終末もの」としての構成美も見どころです。 桐絵・秀一という視点人物を通じて、逃げ場のない閉塞感の中で 日常が確実に浸食されていく過程は、全3巻というコンパクトな尺の中に 凝縮された恐怖として、ホラー漫画の教科書的な完成度を誇ります。

さらに、恐ろしいのにどこか美しい、伊藤潤二ならではの画面にも注目です。 渦を巻く髪、うねる煙、螺旋状に伸びる建物── 緻密なペンで描かれる「渦」の造形は、見る者を引き込む妖しい魅力を放っています。 怖さと美しさが同居するからこそ、ページをめくる手が止まらなくなるのです。

ここが推せる 「渦巻き」という無害な図形だけで町全体を破滅させる発想の勝利。理由なき恐怖という伊藤潤二ホラーの真骨頂を、全3巻で味わい尽くせます。

実写映画・アニメ版について

実写映画『うずまき』は2000年に公開されました。監督はHiguchinskyで、 五島桐絵を初音映莉子が演じています。 TVアニメは2019年に制作が発表され、2024年9月から海外の「Adult Swim」の放送枠「Toonami」で全4話が放送されました。 監督は長濱博史です。 日本では2024年12月20日からNetflixで独占配信されています。

こんな人におすすめ

  • 理由の分からない不条理ホラーが好きな人
  • 伊藤潤二作品の入口を探している人
  • 短い巻数で完結するホラーを読みたい人
  • 2024年のアニメ版から原作に興味を持った人

よくある質問

グロテスクな描写は多い?
身体変形などの描写はかなり直接的です。ホラー・グロ耐性がある人向けですが、恐怖の質は残酷描写そのものより「不条理さ」にあります。
どの巻から読んでもいい?
連作短編的な構成の前半と、町全体の崩壊を描く後半でつながっているので、1巻から通して読むのがおすすめです。
1冊で読める版はある?
あります。2010年に、全3巻を1冊にまとめたビッグコミックススペシャル版(656ページ)が刊行されています。
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