夜のピクニック
高校生活最後の夜、80キロを歩き通す「歩行祭」
『夜のピクニック』は、全校生徒が夜を徹して80キロを歩き通す「歩行祭」を舞台に、 高校生活最後の一夜を描いた青春小説です。第2回本屋大賞に選ばれ、 後に『蜜蜂と遠雷』で直木賞・本屋大賞をW受賞する恩田陸の代表作の一つです。
作品情報
| 著者 | 恩田陸 |
|---|---|
| 出版社 | 新潮社(新潮文庫) |
| 受賞 | 第2回本屋大賞・吉川英治文学新人賞(2005年) |
| 刊行 | 2004年(新潮文庫2005年) |
あらすじ
北高では毎年、全校生徒が夜通しで80キロを歩き通す伝統行事「歩行祭」が行われます。 3年生の甲田貴子にとって、これが高校生活最後の歩行祭です。 貴子には、同じクラスに複雑な事情を抱える同級生・西脇融がいて、 3年間、まともに口をきいたことがありませんでした。 貴子はこの一夜のうちに、融に「あるお願い」をして、 自分の中に抱え続けてきた秘密に決着をつけようと決めています。
見どころ
本作最大の魅力は、「一晩で80キロを歩く」という単純な設定だけで、 高校生活の総決算を鮮やかに描き切っている構成の巧みさです。 夜通し歩き続けるうちに変わっていく体力・気分・人間関係の機微を、 時間の経過とともに丁寧に積み重ねていきます。
派手な事件は起きません。それでも、貴子と融、そして彼らを取り巻く 同級生たちが交わす何気ない会話の一つひとつに、 高校生活の終わりを惜しむ切なさと解放感が滲み出ています。 歩くという身体的な行為そのものが、心の整理の時間として機能する構成は、 青春小説として非常に完成度の高い仕掛けです。
こんな人におすすめ
- 派手な事件がなくても、じっくり読ませる青春小説が好きな人
- 学生時代の忘れられない一夜を思い出したい人
- 会話劇の積み重ねで人間関係が変わっていく物語が好きな人
よくある質問
- 「歩行祭」は実在する行事ですか?
- 小説内の設定であり、特定の学校の実際の行事そのものではありませんが、著者の出身地に伝わる同様の歩行行事から着想を得ているとされています。
- ミステリーのような展開はありますか?
- 大きな事件は起きませんが、貴子と融の関係にまつわる「ある事情」が少しずつ明かされていく構成があり、謎解き的な面白さも味わえます。