藤田和日郎のおすすめ漫画4選
『うしおととら』から『双亡亭壊すべし』まで
「作家買い」して絶対に外れない漫画家がいる
気に入った作家の作品を全部読む「作家買い」。その候補として真っ先に名前を挙げたいのが、 週刊少年サンデーの巨匠・藤田和日郎です。 荒々しい筆致から放たれる熱血。憎み切れない敵。 そして「ここで泣かせるか」という職人技の落涙ポイント── デビューから30年以上、どの作品でも読者の胸ぐらを掴んで離しません。 新人漫画家に向けた指南書『読者ハ読ムナ(仮)』の著者として、 後進の育成に力を注ぐ「漫画家の師匠」としても知られています。
今回は初めて藤田作品に触れる人のために、代表作4本を「読む順番」も意識して紹介します。
藤田和日郎のおすすめ代表作4選
うしおととら(全33巻+外伝/完全版全20巻)
寺の蔵で、槍に縫い付けられた大妖怪「とら」を見つけてしまった中学生・蒼月潮(うしお)。 伝説の「獣の槍」の担い手となった潮と、潮を食う機会を狙いながらなぜか 相棒になっていくとらの凸凹コンビが、諸悪の根源「白面の者」との決戦へ向かう 妖怪バトルの金字塔です。序盤に張られた伏線が終盤で一斉に回収される構成美、 そして「とら」というキャラクターの魅力は少年漫画史に残ります。 藤田作品の入り口は、やはりここから。TVアニメ化もされました。
からくりサーカス(全43巻)
莫大な遺産を相続したせいで命を狙われる少年・勝。人を笑わせないと 呼吸ができなくなる奇病を抱えた拳法家・鳴海。そして勝を守る謎の人形使い・しろがね。 三人の運命が「自動人形(オートマータ)」との200年にわたる因縁に巻き込まれていく、 全43巻の大河活劇です。サーカス、操り人形、錬金術──ロマンあふれる道具立てを 全部背負い切り、伏線をすべて回収して着地する終盤は圧巻のひと言。 「長い漫画は途中でダレる」という常識を覆す、藤田和日郎の最高傑作との呼び声も高い作品です。
月光条例(全29巻)
何十年かに一度、青い月の光を浴びた「おとぎばなし」の住人たちは狂ってしまう── それを正すのが「月光条例」。執行者に選ばれた高校生・岩崎月光が、 シンデレラや赤ずきん、桃太郎といったおなじみの物語の中に飛び込み、 暴走したおとぎばなしと戦っていきます。 「物語は何のためにあるのか」という創作論を少年漫画の文法で真正面から描いた意欲作で、 後半の展開には物語を愛するすべての人の涙腺を狙い撃ちする破壊力があります。
双亡亭壊すべし(全25巻)
東京の一等地に、大正時代から建ち続ける不気味な屋敷「双亡亭」。 関東大震災でも空襲でも焼けず、入った者を喰らうこの怪屋敷に対し、 ついに総理大臣が号令を下します──「双亡亭、壊すべし」。 売れない絵描きの凧葉務、屋敷に母を奪われた少年・緑朗ら、 一癖も二癖もある面々が挑む「お化け屋敷破壊作戦」です。 ホラーの怖さと少年漫画の熱さを一つの物語で両立させる剛腕は健在で、 藤田作品の中でも異色の恐怖演出が光ります。ホラー好きにはここからもおすすめ。
ほかにも: 藤田和日郎の必読作
- 黒博物館 ゴースト アンド レディ(全2巻) ─ クリミアの天使・ナイチンゲールと幽霊の契約。宝塚歌劇でミュージカル化された傑作読切連作。
- 黒博物館 スプリンガルド(全1巻) ─ 19世紀ロンドンの怪人「ばね足ジャック」を描く黒博物館シリーズ第1作。
- 邪眼は月輪に飛ぶ(全1巻) ─ 見た者を殺す邪眼のフクロウと猟師の対決。1冊に藤田イズムが凝縮。
- 藤田和日郎短編集 夜の歌・暁の歌 ─ デビュー作を含む初期短編集。『うしおととら』の原型も読めます。