(2026年10月31日 更新)
累 -かさね-
他人の顔を奪う口紅に導かれた女優の道
ジャンル別おすすめ: ミステリー・サスペンス漫画 ・ ダーク・ホラー漫画 ・ 実写映画・ドラマ化された漫画 ・ 完結済みの漫画
『累 -かさね-』は、松浦だるまが2013年から『イブニング』で連載した「美貌の簒奪」サスペンスです。 顔を交換できる口紅という寓話的な仕掛けで、美と演技の本質に迫る本作は マンガ大賞2015で第10位に選ばれ、累計発行部数は220万部を突破。 2018年には芳根京子・土屋太鳳のW主演で実写映画化され、映画公開と同時期に最終14巻が刊行されました。 全14巻で完結済みの、演劇×ホラーの怪作です。
作品情報
| 作者 | 松浦だるま |
|---|---|
| 出版社 | 講談社 |
| 巻数 | 全14巻(完結) |
| 掲載誌 | イブニング(2013年〜2018年) |
| 累計発行部数 | 220万部以上(2018年時点) |
| 受賞 | マンガ大賞2015 第10位 |
| メディア化 | 実写映画(2018年9月7日公開・佐藤祐市監督) |
あらすじ
容貌の醜さから人に忌み嫌われてきた累(かさね)。そんな彼女に、 伝説の女優だった母が遺した1本の口紅がありました。 その口紅は、口づけによって他者の顔を「奪う」ことができる謎の力を持っています。 母譲りの天賦の演技力を持ちながら、顔ゆえに舞台に立てなかった累は、 美しい顔を借りて女優への階段を上り始めます。 しかし奪った顔には、それぞれの人生と代償が付きまとっていました。
やがて累は、美貌を持ちながら舞台に立ち続けられない女優・丹沢ニナと出会い、 「顔」を貸し借りする共犯関係を結びます。 他人の顔で喝采を浴びるほど、累は「自分は誰なのか」という問いから逃れられなくなり、 さらに母・透世の過去と、口紅にまつわる秘密が少しずつ明らかになっていきます。
主な登場人物
| 淵累(ふち かさね) | 主人公。醜い容姿に生まれながら、天才的な演技の才を持つ少女。母の口紅で他人の顔を「奪い」舞台に立つ。 |
|---|---|
| 淵透世(ふち すけよ) | 累の母。絶世の美貌と演技力を併せ持った伝説の大女優。 |
| 羽生田釿互(はぶた きんご) | 透世に仕えた演出家。累の秘密を知り、彼女を女優へと押し上げる。 |
| 丹沢ニナ | 美貌の舞台女優。難病を抱え、累と「顔」を巡る共犯関係を結ぶ。 |
見どころ
「美とは何か」「演技とは何か」という重いテーマを、ホラー要素を交えたサスペンスとして描く独特の構成が魅力。 累が奪った顔で女優として成功していく過程に潜む罪悪感と代償が、 読み手の倫理観を静かに揺さぶります。
本作のもう一つの見せ場は、劇中劇の迫力です。 累が演じる舞台の場面では、役と累自身の感情が重なり合い、 「他人の顔で演じている」という設定そのものが演技論として機能します。 美しい顔を持つ者が必ずしも演じられるわけではなく、醜いと言われた者が誰よりも役を生きられる── その皮肉が、ページをめくるたびに鋭く突き刺さります。
そして顔を貸す側のニナもまた、ただの被害者ではありません。 美貌を持ちながらそれを生かせない彼女と、才能を持ちながら顔を持たない累。 互いに欠けたものを補い合うはずの関係が、憎しみと依存にねじれていく過程は、 心理サスペンスとして一級品です。
結末・ラストはどうなる?
結末のネタバレを表示する
物語の終盤、口紅の力で舞台に立ち続けてきた累は、その力を手放す決意をします。 累が羽生田に願い出たのは、「素顔のままで舞台に立ちたい」ということでした。 かつてその申し出を一蹴していた羽生田も、累の思いを知り、 素顔の累を主演に据えて舞台『暁の女王』を再び動かすことを決めます。
他人の顔を奪うことで演じ続けてきた少女が、最後に自分自身の顔で観客の前に立つ── 「美とは何か」「演じるとは何か」という本作の問いに、 累がたどり着いた一つの答えが描かれて物語は幕を閉じます。
実写映画について
実写映画『累 -かさね-』は2018年9月7日に公開されました。監督は佐藤祐市。 累を芳根京子、丹沢ニナを土屋太鳳が演じ、顔が入れ替わる設定のため、 二人がそれぞれ累とニナの両方を演じ分けるW主演となっています。 映画は累とニナの「顔」を巡る共犯関係を物語の中心に据えています。
こんな人におすすめ
- ダークな心理サスペンスが好きな人
- 芸能界・演劇の世界を舞台にした作品が好きな人
- 実写映画から原作に興味を持った人
- 『ガラスの仮面』など演劇ものをダークに読みたい人
よくある質問
- ホラーとして怖いですか?
- 驚かせる怖さではなく、人間の執念と業の怖さです。演劇シーンの鬼気迫る描写こそ本作の見せ場です。
- 主人公に共感できますか?
- 累は「善人」ではありませんが、彼女の渇望には抗いがたい説得力があります。倫理観を揺さぶられる読書体験ごと楽しんでください。
- 映画を観たら原作は読まなくてもいい?
- 映画は2時間ほどの尺に物語をまとめているため、原作の全14巻で描かれる累の歩みや、累が最後にたどり着く答えをじっくり味わうなら原作がおすすめです。
