宝石の国
役割を持たない宝石生命体フォスの物語
『宝石の国』は、市川春子が描く「宝石が戦う」SFファンタジーです。 美麗な3DCGアニメで世界的に知られる本作ですが、原作はさらに深く、さらに苛烈。 仏教的な世界観のもとで「変わってしまうこと」の痛みを描き切り、 全13巻で完結した、2010年代を代表する漫画の一つです。
作品情報
| 作者 | 市川春子 |
|---|---|
| 出版社 | 講談社(月刊アフタヌーン連載) |
| 巻数 | 全13巻(完結) |
| 受賞・メディア化 | マンガ大賞2015 第13位 / TVアニメ化(2017年) |
あらすじ
今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、長い時間をかけて結晶となった 宝石生命体が生まれました。宝石の体を持つ28人は、自分たちを装飾品にしようと 襲いかかる「月人」に備え、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についています。
最年少のフォスフォフィライトは、脆くて戦えず、何の役割も与えられない落ちこぼれ。 しかし博物誌の編纂を任されたことをきっかけに、フォスの身体と心は 取り返しのつかない変化を重ねていくことになります。
見どころ
「宝石」という無機物でありながら人格を持つ存在という独創的な設定から始まる、 美しくも切ないSFファンタジーです。砕けても継げば生きられる身体だからこそ、 「記憶を失うこと」「別のものになること」の恐怖が際立ちます。
フォスの成長(あるいは変質)の過程を通して、「役割」「アイデンティティ」、 そして救いとは何かという仏教的な問いまで、物語はどこまでも深く潜っていきます。 白と黒を基調にした市川春子の画面は、静謐なのに凄絶。 終盤の展開は賛否を呼びましたが、間違いなく読む者の心に爪痕を残します。
こんな人におすすめ
- 独創的な世界観のSFファンタジーが好きな人
- 美しい絵柄と重いテーマのギャップが好きな人
- アイデンティティをテーマにした物語に興味がある人
- 『虫と歌』など市川春子作品のファン
よくある質問
- アニメの続きは原作の何巻からですか?
- TVアニメは原作中盤の手前までを映像化しています。アニメの先の展開こそ本作の核心なので、続きは原作でどうぞ。
- 癒やし系の見た目ですが、つらい話ですか?
- かなり容赦のない物語です。ただその痛みの先に用意された結末まで含めて、読む価値のある作品です。