ファンタジー漫画のおすすめ6選
異世界に没入できる名作たち
いいファンタジーは「世界」がもう一人の主人公
剣と魔法が出てくれば全部ファンタジー、というわけではありません。 名作と呼ばれる作品には共通して、ページの外まで広がっていそうな「世界」の実在感があります。 魔法の代償、モンスターの生態、その世界の経済や宗教── 設定の緻密さが物語の説得力になり、読者はいつの間にか登場人物と同じ空気を吸っている。 現実を忘れたい夜に効くのは、そういうファンタジーです。
今回は王道の冒険譚から、飯もの、静謐な寓話まで、 「世界」の作り込みが桁違いの6作品を選びました。
異世界への扉になるおすすめの6作品
葬送のフリーレン(既刊)
魔王を倒した勇者一行の物語は、たった数コマで終わります。 本編はその後──1000年を生きるエルフの魔法使いフリーレンが、 先に逝った仲間たちの人生の意味を、もう一度旅をしながら見つけ直していく後日談です。 「冒険が終わったところから始まるファンタジー」という発明で マンガ大賞2021を受賞し、アニメ化で国民的作品に。 人の寿命の短さと尊さが、エルフの時間感覚を通して胸に迫ります。
ダンジョン飯(全14巻)
ドラゴンに妹を食われた冒険者ライオスの選択は、 「ダンジョンに潜りながら、モンスターを食べて食費を浮かせる」でした。 スライムの水抜き、動く鎧の意外な正体──モンスターの生態を「食」から 解き明かしていく序盤のグルメコメディが、やがてダンジョンの根源に迫る 壮大な物語へ育っていく構成は見事のひと言。 「食べることは生きること」というテーマを全14巻で描き切った、 世界設定オタクの九井諒子にしか描けない傑作です。
鋼の錬金術師(全27巻)
死んだ母を蘇らせようとして禁忌を犯し、体を失ったエルリック兄弟が、 すべてを取り戻すため「賢者の石」を探す旅に出ます。 「何かを得るには同等の代価が必要」という等価交換の原則が 世界の物理法則としてもテーマとしても貫かれ、 国家の陰謀、戦争の罪、命の意味までを全27巻で完璧に回収。 ダークファンタジーの完成形としていまだに超えられない金字塔です。 少年漫画を1作だけ人に薦めるなら、と聞かれてこれを挙げる人は多いはず。
メイドインアビス(既刊)
直径1000メートル、深さ不明の大穴「アビス」。 深く潜るほど帰還時に「上昇負荷」という呪いが襲う、この死の秘境に、 母を追う少女リコとロボットの少年レグが挑みます。 可愛らしい絵柄に反して、描かれるのは容赦のない残酷さと、 それでも「憧れは止められない」という探窟の業。 階層ごとにまるで異なる生態系のビジュアルは圧巻で、 「未知の場所へ行きたい」という冒険ものの根源的な欲望を これほど純度高く刺激する漫画は他にありません。
とんがり帽子のアトリエ(既刊)
魔法は生まれつきの才能──そう信じていた少女ココは、 魔法が「描く」技術であることを知ってしまいます。 禁忌に触れて母を失ったココが、魔法使いキーフリーの弟子として アトリエで学び始める、魔法学園ものの傑作です。 ペン先から生まれる魔法陣という設定が「描くこと」への賛歌になっており、 何より作画が精緻で美しい。米国のアイズナー賞を受賞するなど 海外評価も極めて高い、世界に誇れるファンタジーです。
宝石の国(完結済)
遠い未来、人類なき世界で暮らす28人の宝石の生命体。 彼らを装飾品として狙う「月人」との戦いの中で、 最年少で何の役割も持たないフォスフォフィライトの運命が動き始めます。 少年漫画的な導入から、仏教的な救済の物語へと変貌していく展開は ファンタジーというより現代の寓話。 読み終えたとき、タイトルの意味がまったく違って見えます。 市川春子の硬質で美しい線と共に、完結済みで一気に浴びてほしい作品です。
ほかにも: 世界に浸れるファンタジーの名作
- 図書館の大魔術師(泉光) ─ 本の都の司書を目指す少年。装丁のような美麗さのビブリオファンタジー。
- 魔法使いの嫁(ヤマザキコレ) ─ 人外の魔法使いに嫁いだ少女。英国妖精譚の香り。
- 不滅のあなたへ(大今良時) ─ 不死の存在が「人間」を学ぶ大河ファンタジー。
- ハクメイとミコチ(樫木祐人) ─ 9センチの小人の暮らし。日常系ファンタジーの極地。
- 七つの大罪(鈴木央) ─ 伝説の騎士団を巡る王道冒険活劇。アニメ化もされた人気作。
- 空挺ドラゴンズ(桑原太矩) ─ 龍を狩って食べる捕龍船の旅。飯×ファンタジーの佳作。