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『おかえり水平線』書影

おかえり水平線

銭湯を舞台にした高校生群像劇

🎗️ マンガ大賞2026 ノミネート 青春群像劇

『おかえり水平線』は、渡部大羊が描く銭湯を舞台にした青春群像劇です。 「父の隠し子」という秘密から始まる静かなドラマが評価され、 マンガ大賞2026にノミネート。下町の湯気の向こうで人間関係がほどけていく、 いま注目の新鋭作です。

作品情報

作者渡部大羊
出版社集英社
掲載誌少年ジャンプ+(2025年3月連載開始)
巻数既刊3巻(連載中)
受賞マンガ大賞2026 ノミネート

あらすじ

海辺の町で、祖父とふたり銭湯「柿の湯」を切り盛りする高校1年生・柿内遼馬。両親はすでになく、 学校ではクラスメイトと一定の距離を置き、放課後はまっすぐ銭湯へ帰って開店準備をする── そんな静かで変わりばえのしない毎日を送っていました。

ある日、亡き父・柿内龍臣の写真を手にした同い年の少年・柴崎玲臣が「柿の湯」を訪ねてきます。 玲臣は関東から父に会うためにやって来たのですが、その父はすでに病で世を去ったあとでした。 しかも玲臣は、遼馬の父が家庭の外につくった子──つまり遼馬の異母兄弟にあたる存在だったのです。

突然「きょうだい」になってしまった二人は、戸惑いを抱えたまま同じ屋根の下で暮らし始めます。 やがて「柿の湯」には、母と二人暮らしのクラスメイト・秋野をはじめ、 それぞれに事情を抱えた人たちが足を運ぶように。湯気の立ちこめる銭湯を結節点にして、 高校生たちのこわばった関係が少しずつほどけていく群像劇です。

物語の舞台はどこ?

物語の主な舞台は、海辺の町にある銭湯「柿の湯(かきのゆ)」です。 港のほど近くに建つ創業40年の銭湯で、主人公・柿内遼馬の祖父である柿内勝臣が営んでいます。 タイトルの「水平線」が象徴するとおり、海と下町の風景が物語全体の空気を作っており、 湯気の向こうに広がる海街の情緒が本作の大きな魅力になっています。

「柿の湯」は単なる背景ではなく、物語そのものを動かす場所として機能します。 遼馬と玲臣が寝起きをともにするのも、二人が言葉を交わすのも、 クラスメイトが思いがけず訪ねてくるのもこの銭湯。 番台と浴室という「裸で向き合う」空間だからこそ、 学校では見せない顔が自然と表に出てきます。 2巻ではクラスメイトの有門に銭湯の存在を知られたことをきっかけに、 遼馬が文化祭の劇の脚本を任される展開もあり、 銭湯という私的な場所と学校という公的な場所が少しずつ地続きになっていきます。

なお、特定の実在都市がモデルだという公式な発表は現時点では見当たりません(2026年8月時点)。 アニメ化・舞台化も発表されていませんが、2025年11月にYouTubeの「ジャンプチャンネル」で ボイスコミックが公開されており、遼馬役を安田陸矢、玲臣役を島崎信長が担当しています。

主な登場人物

柿内遼馬(かきうち りょうま)主人公。高校1年生。祖父の銭湯「柿の湯」を手伝う眼鏡の少年。人目を気にする性格で、口では標準語を話すが心の声は関西弁。
柴崎玲臣(しばさき れお)亡き父の写真を手に銭湯へ現れた茶髪の高校1年生。遼馬の異母兄弟にあたる、もう一人の主人公。
柿内勝臣(かきうち かつおみ)遼馬の祖父。73歳。「柿の湯」の主人で、孫たちの複雑な関係を湯のように静かに受け止める。
柿内龍臣(かきうち たつおみ)遼馬と玲臣の父。物語の開始時点ですでに故人で、病により早くに世を去っている。二人をつなぐ不在の中心人物。
秋野(あきの)遼馬のクラスメイトの女子。丸眼鏡がトレードマークで、母親と二人暮らし。「柿の湯」に通ううちに三人の距離が縮まっていく。
持田仁美(もちだ ひとみ)遼馬たちのクラスメイトの女子。ショートパーマで、服作りを趣味にしている。

見どころ

突然「きょうだい」になってしまった遼馬と玲臣が、戸惑いながら同じ屋根の下で暮らし始める。 銭湯という「みんなが裸で向き合う場所」ならではの距離の近さで、 二人の関係も、湯を訪れる客たちとの関わりも、丁寧にほどけていきます。

もうひとつの読みどころは、遼馬の内面の描き方です。 人目を気にして表向きは標準語で取り繕う一方、心の声は関西弁で本音を垂れ流す── この二重構造がそのままコマに出てくるので、 「取り澄ました顔の裏でこんなに慌てているのか」というおかしみと切実さが同居します。 親の不在、家庭の事情、言えない本音といった重たい題材を扱いながら、 読後に残るのが湯上がりのような爽やかさなのは、 こうした軽妙な語り口と、登場人物を誰も断罪しない作者の目線によるところが大きいでしょう。

ここが推せる 銭湯という舞台設定が秀逸。日常の中に少しずつ差し込まれる謎と、じんわり温まる人間関係の描写が両立しています。

現在の連載状況

本作は2025年3月23日に少年ジャンプ+で連載を開始し、当初は毎週、第5話からは隔週日曜の更新で続いています。 単行本は2025年7月に1巻、11月に2巻、2026年4月に3巻が刊行され、4巻は2026年9月4日発売予定です(2026年8月時点)。 物語はまだ完結しておらず、遼馬と玲臣の関係、そして二人の父・龍臣が遺したものをめぐる話が 少しずつ掘り下げられている段階です。 マンガ大賞2026のノミネート12作品に選ばれたことで一気に知名度が上がった作品ですが、 既刊3巻とまだ短く、いま追いつくのはさほど大変ではありません。

こんな人におすすめ

  • 特定の「場所」を中心にした群像劇が好きな人
  • 家族の秘密をめぐる静かなドラマが好きな人
  • 銭湯・下町情緒が好きな人

よくある質問

重い家族ドラマですか?
秘密を扱いますが、銭湯の日常の温かさが基調で、読み口は穏やかです。緊張と癒やしのバランスが持ち味です。
今から読み始めるのに向いていますか?
向いています。巻数が少ない新鋭作なので、話題が大きくなる前に追いつける今がチャンスです。
どこで読めますか?
少年ジャンプ+で連載中です。単行本はジャンプコミックスから刊行されています。
舞台になっている銭湯や町に実在のモデルはありますか?
作中の銭湯「柿の湯」は、港のほど近くに約40年前から建つという設定の架空の銭湯です。海辺の町という舞台も、特定の実在都市がモデルだという公式発表は2026年8月時点で確認できません。ただし下町の銭湯と海街の描写は具体的で、聖地巡礼の対象がなくても十分に「その町」の空気が伝わってきます。
完結していますか?何巻まで出ていますか?
連載中で、単行本は既刊3巻(4巻は2026年9月4日発売予定)です。物語はまだ序盤から中盤にさしかかったところなので、完結を待たずに読み始めても取り残される心配はありません。
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