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『タッチ』書影

タッチ

双子の兄弟と幼馴染、甲子園を巡る青春の原点

野球青春アニメ化

『タッチ』は、1981年から1986年まで『週刊少年サンデー』で連載された、あだち充の代表作にして 日本の青春漫画の原型と呼ばれる作品です。 双子の兄弟と幼馴染の少女、そして甲子園。第28回小学館漫画賞を受賞し、 1985年から放送されたTVアニメ(全101話)は社会現象になりました。 説明しすぎない「間」の演出で、40年経った今も新しい読者を泣かせ続けています。

作品情報

作者あだち充
出版社小学館
巻数全26巻(完結)
掲載誌週刊少年サンデー(1981年36号〜1986年50号)
受賞第28回小学館漫画賞 少年部門
メディア化TVアニメ(1985〜87年・全101話)・劇場版・実写映画(2005年)

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あらすじ

上杉達也・和也は一卵性双生児。要領はいいが怠け者の兄・達也と、 野球部のエースで成績優秀な弟・和也、そして隣家の幼馴染・浅倉南。 「南を甲子園に連れていって」という約束を胸に和也は快進撃を続けますが、 物語は予期せぬ形で達也にバトンを渡します。 弟の夢と自分の想いを背負い、達也はマウンドに立つことを選びます。

ピッチャーとして急成長していく達也の前に立ちはだかるのは、 強豪・須見工業の天才スラッガー・新田明男。 そして「和也の代わり」として見られ続ける重圧。 達也は、弟ではなく自分自身として甲子園への道を進んでいきます。

主な登場人物

上杉達也(うえすぎ たつや)主人公。双子の兄。怠け者に見えて、実は誰よりも周囲を思いやる。弟の死後、ピッチャーとして才能を開花させる。
上杉和也(うえすぎ かずや)双子の弟。明青学園野球部のエース。南を甲子園に連れていくことを誓う。
浅倉南(あさくら みなみ)上杉兄弟の幼馴染。野球部のマネージャーとして、二人の夢を支える。
新田明男(にった あきお)須見工業の天才スラッガー。達也が越えなければならない最大のライバル。

見どころ

あだち充の真骨頂は「描かないことで描く」演出です。 決定的な場面ほどセリフを排し、風景と沈黙のコマで語る。 漫画における「間」の使い方の教科書として、後続の作家に与えた影響は計り知れません。 物語中盤の大きな喪失の回は、少年漫画史に残る静かな衝撃として語り継がれています。

南・達也・和也の三角関係は、単なる恋愛の綱引きではなく 「誰かの夢を代わりに生きること」の物語です。 達也が「和也の代わり」から「上杉達也」になるまでの長い道のりは、 野球漫画の形を借りた自己確立の物語として、大人が読むほど刺さります。

そして本作は、驚くほど笑える漫画でもあります。 達也のとぼけた言動、ギャグの間合い、脇役たちのやりとり。 重いテーマを抱えながらも読み心地が軽いのは、この笑いがあるからで、 シリアスとコメディを行き来するリズムこそ、あだち作品の真の発明かもしれません。

ここが推せる 「上杉達也は浅倉南を愛しています。世界中の誰よりも」──この一言に辿り着くまでの26巻。断言しますが、古さは1ページ目だけです。

結末・ラストはどうなる?

結末のネタバレを表示する

物語の転機は、甲子園出場をかけた地区予選決勝の日に訪れます。 試合会場へ向かう途中、和也は子どもをかばってトラックにはねられ、帰らぬ人となります。 和也の夢を引き継ぐ形で野球部に入った達也は、ピッチャーとして急成長し、 その後の夏、地区予選決勝で再び須見工業と対戦。新田との勝負を制し、明青学園は甲子園出場を決めます。

そして達也は南に「上杉達也は浅倉南を愛しています。世界中の誰よりも」と想いを伝えます。 意外なことに、甲子園の本大会の試合そのものはほとんど描かれません。 明青学園の優勝は、最後にさりげなく示されるだけです。 勝敗より、達也が「和也の代わり」ではなく自分として南に向き合えたことを物語の到達点に置いた── あだち充らしい、描かないことで語るラストです。

アニメ・実写版について

TVアニメは1985年3月から1987年3月までフジテレビ系で全101話が放送されました。 制作はグループ・タック、総監督は杉井ギサブロー。 達也を三ツ矢雄二、和也を難波圭一、南を日髙のり子が演じ、 岩崎良美が歌う主題歌「タッチ」も広く知られています。 劇場版アニメも制作され、2005年には実写映画化されました。

こんな人におすすめ

  • 野球・スポーツ青春ものの原点に触れたい人
  • 「間」で語る漫画表現を味わいたい人
  • 『MIX』(続編的作品)から あだち充に興味を持った人
  • 『H2』など、あだち充の他の野球漫画が好きな人

よくある質問

昭和の作品だけど、今読んでも楽しめる?
楽しめます。絵柄と小道具こそ80年代ですが、感情の動きの描き方は完全に普遍的で、現代の青春漫画の多くが本作の影響下にあります。
何巻で完結? 続編はある?
全26巻(ワイド版は全11巻、文庫版は全14巻)で完結しています。同じ明青学園を舞台にした『MIX』が現在も連載中で、本作の約30年後を描いています。
アニメと原作で結末は同じ?
大筋は同じですが、細部の描き方は異なります。原作は甲子園の試合をほとんど描かずに締めくくるので、アニメを観た人も原作の最終巻で「間」の演出を味わってみてください。
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