SF漫画のおすすめ6選
「もしも」に呑み込まれる名作たち
いいSFは、たった一つの「もしも」から始まる
宇宙船もロボットも、SFの本体ではありません。 優れたSFの核にあるのは、「もしも○○だったら?」というたった一つの仮定と、 そこから論理的に組み上がっていく世界です。 もしも全人類が石化したら。もしもチンパンジーと人間の子が生まれたら── 仮定が鋭いほど、物語は現実の私たちの姿を映す鏡になります。
今回は宇宙サバイバルから思考実験、じんわり怖い異形の建築まで、 「もしも」の切れ味で選んだ6作品を紹介します。SF初心者にも読みやすいものを揃えました。
頭を揺さぶられるおすすめのSF漫画6選
彼方のアストラ(全5巻)
惑星キャンプに出かけた高校生9人が、突如5012光年の彼方へ飛ばされる。 偶然発見した宇宙船「アストラ号」で、食料と水を補給しながら故郷を目指す サバイバルSFにして、「なぜ自分たちは飛ばされたのか」を追う本格ミステリーです。 全5巻ですべての伏線が気持ちよく回収される構成美はマンガ大賞2019受賞も納得。 SFを読み慣れていない人への「最初の一冊」として、自信を持って薦められます。
Dr.STONE(全26巻)
謎の光で全人類が石化してから3700年。目覚めた科学少年・千空は、 文明ゼロの世界で「科学の千年紀を一気に駆け上がる」ことを宣言します。 火起こしから抗生物質、そして携帯電話まで── 人類の科学史を追体験するロードマップそのものが物語になっている快作です。 「科学は積み重ね」という当たり前の事実がこれほど熱いドラマになるとは。 全26巻で完結済み、理科が苦手な人ほど読んでほしい一作です。
ダーウィン事変(既刊)
人間とチンパンジーの間に生まれた「ヒューマンジー」の少年チャーリー。 彼がアメリカの高校に入学したところから、物語は動き始めます。 動物の権利、テロリズム、人間の定義──チャーリーの存在そのものが 社会に突きつける問いの数々は、まさに一級の思考実験。 残酷なほど聡明なチャーリーの視点から見ると、 「人間らしさ」がいかに奇妙なものかが浮かび上がります。 マンガ大賞2022受賞、現代SFの最前線です。
PSYREN -サイレン-(全16巻)
謎のテレホンカードに導かれ、荒廃した「サイレンの世界」でのゲームに 巻き込まれた高校生たち。戦いの舞台となるあの世界の正体が判明する中盤から、 本作は超能力バトルの顔をした本格時間SFへと化けます。 「未来を知った人間は、現在をどう生きるべきか」という問いを 少年漫画の熱量で駆け抜ける全16巻。 完結から約15年を経て、2026年10月にTVアニメ化される再注目の一作です。
我らコンタクティ(全1巻)
冴えない会社員のカナエが再会した小学校の同級生・カズキは、 町工場でこっそりロケットを作っていました。目的は「撮った映画を宇宙で上映する」ため。 荒唐無稽な計画に巻き込まれるうちに、カナエの止まっていた人生も動き出します。 派手な描写はないのに、ラストの打ち上げシーンの多幸感は本物。 たった1巻で「宇宙への憧れ」の原点を思い出させてくれる、 知る人ぞ知る青春SFの傑作です。
百万畳ラビリンス(全2巻)
ゲーム会社でアルバイトをする礼香と庸子が目覚めたのは、 畳敷きの部屋がどこまでも連なる、無限の「家」の中でした。 物理法則の穴を突き、この世界の「仕様」を解析しながら攻略していく 礼香の理系的な思考が痛快で、デバッグ作業がそのまま冒険になる感覚は唯一無二。 上下2巻でスパッと終わる完結ぶりも見事です。 ゲームの攻略やプログラミングが好きな人には、特に深く刺さります。
ほかにも: 「もしも」が冴えるSFの名作
- COSMOS(田村隆平) ─ 宇宙人専門の保険会社という設定が秀逸なヒューマンSF。
- テラフォーマーズ(貴家悠・橘賢一) ─ 火星で進化した「彼ら」との戦争。バトルSFの直球。
- 人喰いマンションと大家のメゾン(田中空・あきま) ─ 人とモノを再利用し続けるマンションの静かなSFホラー。
- 怪獣を解剖する(サイトウマド) ─ 沈黙した巨大怪獣を「研究」する思弁SF。
- サザンと彗星の少女(赤瀬由里子) ─ 80年代風オールカラーで描く王道スペースオペラ。
- 宇宙兄弟(小山宙哉) ─ 現実の宇宙開発に最も近いSF。大人の夢の物語。